2009年11月28日 00:38

その小さな百円均一で買ってもらったピンク色した手袋は
雑誌やら新聞紙やらダンボールを持ったり運んだりしたせいで
ほこりっぽくて、汚い、そして、指先や親指の付け根からほころびてしまった


荷台にある程度の廃棄物を積上げて、助手席に八を乗せて
二人はいってしまった。
残されて、まだまだある古新聞古雑誌、ダンボールをたたみ結わえる
けれど、八のようにうまくはいかず


+++++++++++++++++++

全部マダヲにあげちゃえばいいアルといったら、
マダヲにはもうあげた、といわれ、
私のほうが力があるからといえば、八は真選組にいってもらって
たぶん山崎君あたりが、まとめておいてくれた古新聞古雑誌を受けるか
きっと地味に、かたづけんるんだ、それに、あそこは
といいかけて、銀ちゃんはにやり笑う
どうせ、むさくるしい男のすくつネ、といえば
「巣窟ね、そうくつ」と訂正されあれだけの男所帯だから、
マニアックなものでもでてくるだろ、そういうの、若い青年には必要なんだよとか
いってそれをきいて、八がまたあかくなったけど、
銀ちゃんの瞳はそれだけじゃないなにかをはらんでいるのがありありと
言葉の言い回しから伝わって、いらいらする
手の内は読まれているのかもしれない。
神楽はふと思う。
銀ちゃんと一緒に住んでいて、なにかと行動やら事件を共にして
解決したり(解決しなかったり)いると、死んだ魚みたいな光のない瞳からも、
彼のゆがんだ感情やストレートな思いや
嫉妬や、愛情や、真心や、やさしさや悔しさはある程度
見分けがつく、
けれど、相手はどこまでウワベだけなのか
所詮ヒトの気持ちなんて、言葉にしないとわからないのだ
少なくとも、おんなのこは言葉を、求めている
たとえ、嫉妬深い内容だとしても。

「キタナイな」と
言い返せば、銀ちゃんは意味が通じたのだろう、
またひどく歪んだ笑みを浮かべた。

+++++++++++

結わえていたはずの雑誌が崩れ、散ばる。
また、やり直さなければと思い、雑誌をまとめれば
手袋に穴が開いて指先がでてしまっていた。
所詮百円だったのだ、けれど、ホコリまみれの掃除には
ちょうどいいのだ、
誕生日プレゼントだったのに、と愕然として、取った雑誌の特集は
大人の女が使うグローブ、バッグ、ブーツの特集で、
表紙の女は茶色の皮の手袋をしていた。
去年のクリスマス特集だ。
ペラペラとページをめくれば、パーティ会場で手袋を取り
バッグに入れようとしたモデルの写真。

はぁと自分の手元を見る

「じっと手をみる」
と声がかかり、振り向けば、沖田がいた
気配に気づかないくらい雑誌をみていたのだろうか
「ハァ?」
「働けども働けどもわが暮らし楽に成らざる、ですかぃ」
といいかけて、すばやく隠した雑誌を目ざとくみつけて
笑った
「なんでぃチャイナ、その雑誌」

手袋を買いに(私は指フェチ)

2009年11月26日 22:50

寒いなぁとおもう、
空は真っ青ですんでいて雲の白さと遠くに見える
富士山の雪の白さが眩しい。
そういう清清しい朝に、布団を干した。取り込める時間には帰れるだろう、と銀時は言う
まぁ最悪、ババアが取り込んでくれるだろ、万事屋銀ちゃんの看板を見上げた。

いわゆる今日の仕事は廃品回収で、雑誌、ダンボールを集める。
集まったダンボールは公園のすみで、
シンパチと二人でたたんで紐で結わえてゆく。
雑誌も新聞紙も。
それを銀ちゃんが今車をかりにいってるのだが、トラックの荷台に積んで
リサイクル業者へと向かう。
なけなしの金を依頼人からもらう。
スズメの涙みたいな金は今晩きっと焼肉へと変わるのだろう。
ああと、顔を上げれば、パチと目があう。
パチは器用に新聞をまとめてゆく
けれど
時々、困ったように頬を染めているのは、スポーツ新聞のえろ記事か、
グラビア雑誌か、はたまた二次元エロ漫画雑誌か。
「パチ知ってるか?ティーンズ向けの漫画のほうがエロいアルョ」と
教えてやれば「かぐらちゃあああん、」とすごい顔で見られた。




手袋を買いに

2009年11月25日 08:58

たんすの奥のほうから、去年の手袋が出てきた。
それは、銀ちゃんが、どこか、たぶん、だいそーとか、百円均一の店で
なけなしの金(たぶん糖分補給したかった金)をはたいて買ってくれた
子供用の伸びる軍手みたいな手袋で、あったかいのかあったかくないのか
よくわからない、でも小さな手にはぴったりと収まる

「あのねえ、もっとこう、ファーがついてるゴーカな大人の女みたいな
私によく似合う手袋が欲しいアル」といったところで
鼻くそほじられて、神楽ちゃん、うちの家計知ってるでしょ、と一笑されて
これが誕生日プレゼントかョといったら
あのさ、手袋はじめました的に、店に並びだしたのを即購入したんだぜ、
感謝しろよこのやろー
とかなんとか言ってたのを思い出した。

祭りをめぐる話

2009年10月31日 04:09

近所の神社で祭りがある。
お囃子の音が聞こえてくる。

銀ちゃんは私の髪に姉御が貸してくれた小さなかんざしを
挿すと、マゴニモイショウ、だという
マゴ?マゴになった覚えないネ。
シンパチはにっこりとわらって、姉上の子供のときの浴衣で、
母上が仕立ててくれたんですよとかぶつぶついって目を細めていた。あんたが
母上アルヨと思ったけど口にしないことにした。
だって、今日は久しぶりに万事屋にバイト料という名の金がはいったのだ。
ババアになんぞ払うくらいなら、腹のなかアンズアメでいっぱいにしてやる、って銀ちゃんが
言ってる。
虫歯いたいとか言ってたのに。


++++++++++++

参道につけば、秋の始まりの少し肌寒い風が吹いていて、
日が落ちることがほんの少し、早く感じた瞬間だった。
的屋と、客とのやりとりが聞こえた。それから、お囃子の音。人々のどよめき

住んでいた星のことを思い出す。雨音しか聞こえない。
天気予報士はときどき、曇るかもね、と言っていた。
祭りなんてものがはたしてあったのだろうか。
雨水とともに流された血液の匂いがこびりついていた、小さな街角にも路地の裏にも


神楽ちゃあん、俺さ、
見上げれば、銀ちゃんが的屋を見ていた、射的だ。
さっきから何倍ビールのんだのだろう。ビールとチョコバナナ。なんで
それがつまみになるのだろう
「ぢのニンジャと、ちょっと勝負してくる」
指差した先に、忍者の服部君がいた。
銀ちゃんに気がつくと、笑ってそれから、少し口許が挑戦的になった。

それをしたいと思わなかった、思えなかったのは、
足の親指と人差し指の間がいたくて、ずいぶんと前から、
家でサンダル代わりに履いていたはずの下駄なのに、未だ慣れてなかったことを思い知る。
慣れていないのは、下駄だけではなく、この雰囲気だ。
銀ちゃんが笑っている、服部も。
銀ちゃんが服部をどついたり、それから店主になにかいって
店主がむっとしたり笑ったりしている。


「大体、豪華商品なんていっても」
倒れないように出来てるネ
神楽ちゃんは男のロマンを知らないよなぁ、銀ちゃんはそういって
また、ビール呑んでいる。服部もだ。
もらった商品はシガレットチョコで。それでも、糖分が欲しい銀ちゃんは
喜んで食べている。
服部も同じものをもっていたけど、何かを思いついたのかポケットに仕舞った

「ちょっと、便所。ハットリクンも行く?」「ああ」
「つれしょん?」
「いいじゃん、っていうか、女の子がそういうこというんじゃないの、しょんとか」
銀ちゃんと服部は仮設トイレのある公園のほうへと路地を曲がっていってしまった、
神楽ちゃん、そこで待ってて、たぶん、シンパチたち来るから
そういってふらふらと、歩いていってしまった。

++++++++++++

雨ばかりのあの星で、こんな祭りがあったのか、小さな記憶を手繰り寄せても、
なにもでてはこなかった、
それにしても、足が痛い、銀ちゃんに言い忘れた、
しゃがんで、下駄を脱いで
銀ちゃんがやってくれたように鼻緒を少しいじろうと片足立ちになる

「おい?」

いきなり声をかけられて、その声に驚く、ああと思う。
顔をあげれば、真っ黒いシルエット
制服の黒とそれから、煙草のにおいがした、なんでこんなところに
いるのだろうという疑問は言葉になる。

「お前も着てたのか?」

片足で立ち上がり、下駄を右手にもてば少しぐらつく
支えようとする土方の手を振り払い下駄を履きなおす。
やっぱり痛い、そもそも歩きにくかったのだ、からんからんと音がして
その音が少しうっとおしかった、
いつもの靴やブーツと違って
違和感だけ

「見回り」
そういって煙草を携帯灰皿に押し付ける
「迷子か?」とつまらない冗談。
何で気が利いたこともいえないのだろうと、銀ちゃんならなにか
言葉を待つ。

「なぁ、チャイナ、お前の住んでいたところにも、祭りがあったのか?」
どうして、その名前に土がつくように(銀ちゃんに教わったのだ)
土足で踏み混むってこのことなんだろう
ああ、足が痛いのに

「ないネ」ポツリ答える。
「そうか」

歓声があがり、会話は途絶え、土方も私も歓声の上がった方向へと
目をやれば、人ごみでうまく見えない。背伸びをしたくても、足が痛い。
土方は「山車が動き出したみたいだ」

通りすぎるまで、黙ってそれを見ていた。おなかがすいたし、
銀ちゃんは戻ってこない。

「なぁ、マゴニモイショウってなにアルか?」
思い出したのは、出掛けにいわれた銀ちゃんの言葉。
「私、銀ちゃんのマゴになる気はないネ、むしろ」
「むしろ?」
土方の無表情な顔が少しだけ、変わる、
「だから、マゴニモイショウってなにアルか?しつこいネ、
女子に何度も同じこといわせるんじゃねーよこの腐れ公務員ポリ公
気の利いたこと言いやがれめかしこんでるんだからョ」

言い切れば、足の痛いのなんかどうでもよくて、それから、はだしになりたいと
思ってしまって、意味がわからなくて、土方の顔を覗き込めば、
少しだけのはずが、大きくかわって、笑っていたから
また腹が立つ

「そういう意味じゃね?」

どこかでまた、歓声があがった、御輿だか、山車だか、お囃子だか、なんだかわからないけど、
何かが動き出したのかもしれない。
歓声にまぎれてはっきりとは、聞き取れなかった、けれど、早口に何かをいっていた、
「     」
顔をあげれば、土方は、機嫌の悪そうな顔で、伏せ目がちに、
内ポケットに手をやり、煙草を取り出そうとして、その手を止めた。
でも、確かに聞こえたのだ、

煙草を吸いたいのを我慢しているのだろう、内ポケットにもっていった手を
どうしたらいいのか分からずに、ズボンのポケットに戻す
「銀ちゃん待ってるネ。さっき便所いったネ」
言ってみる。とても大きな声で。耳元で。
土方は、うん、とうなずいた。

[ 続きを読む ]

銀さんマフラーとか編めそうだよね

2009年10月31日 03:53

かまっ子クラブの仕事はきらいじゃねえ、けど、たまに会うヅラ子がうざいと
思う。いや、うざくなかったら、ヅラじゃねえなぁ

「帰るぞ銀時」

洗面所から出て手ぬぐいで顔を拭く。
部屋のなかは暖房がほんの少し効いていた。
暖房の暖かさと、白粉やら香水やらあまったるい匂いがして
ここは女子更衣室か?と思う、ある意味そうなんだが

「顔そのまんまなわけ?」
そういえば、ヅラは、かまっこクラブの仕事をしているとき、
ほとんどメイクを直したりしない。
そもそも、汗ひとつかかない、メイク崩れはほとんどない
形のよい唇には、いまだ、紅が残っている
どんな酒の飲み方をしてるのだろうかと、ふと思う。
その辺の立ち飲み屋でのむのとそう変わらないのだろう

幼馴染の顔をじっと見つめれば、
「ああ、そうだな」と一言いっただけで、かえる準備を始めている。
俺は、ロッカーからジャンパーをだして、着込む、時計を見れば二時半
いつもより少し早い上がりだ
それから、首元が寒いのでマフラー。
三分の一神楽が、残りはなぜか俺とババアと、それからタマも編んだ
本当の機械編みマフラーじゃね?
赤い色したマフラー。

「ずいぶん暖かそうだな、リーダーが編んだのか?」
ヅラが俺の首元を見て言う
「まぁな、おめえにくれてやるよ」
なんとなく言えば「いや、遠慮しておく」お前のために編んだのだろう?リーダーは、と
ぼそり言う。
そうとも言うしそうじゃないとも言うと曖昧なことを言えば、
「はぁ?なにをいっておるのだ、銀時」と
ヅラは怪訝そうな顔で俺を一瞥する

「ヅラ、腹減った」
本当に腹が減っていたのだ。
「俺は減ってない」
そういってヅラは更衣室の扉を閉めた。